大量のデータと複雑な数式を含む大きなExcelファイルは、たとえPCの性能がかなり高くても、動作が遅くなることがあります。スクロールが遅くなったり、数式の再計算に時間がかかったり、保存時間が長引いたりするかもしれません。実は、ハードウェアの不具合だけでなく、ワークブック自体の設定や不要なデータで肥大化していることも原因の一つです。Excelが追いつくのを待つのにうんざりしているなら、このガイドではパフォーマンスを向上させるためのさまざまな方法を紹介しています。より優れたデータツールの使用からファイルサイズの削減、設定の微調整まで、速度向上に役立つものなら何でも試してみましょう。目標は? 大きなワークブックをよりスムーズに、そして手間をかけずにワークフローをスムーズにすることです。
大きなExcelファイルを高速化する方法
方法1: Power QueryとPower Pivotを活用して効率的なデータ処理を実現する
少し奇妙に聞こえるかもしれませんが、すべてのデータをシートに直接読み込むのは最善策ではありません。Power QueryとPower Pivotはビッグデータ用のターボブースターのようなもので、アクティブなスプレッドシートを重くすることなく、バックグラウンドでデータを保存・分析します。データセットが巨大な場合は、処理時間を大幅に短縮できます。さらに、処理はデータモデルで行われるため、ワークブックのサイズは小さく抑えられます。
手順:
- Power Queryでデータをインポート:データタブ >データの取得> CSV、データベース、Webなどからデータを選択して、Power Queryエディターにデータを読み込みます。こうすることで、Excelが膨大なデータを直接セルに取り込む必要がなくなります。
- データのクリーニングと変換:Power Query のインターフェースを使用して、不要なデータをフィルター処理したり、データ型を修正したり、重複データを削除したりできます。事前にデータをクリーニングしておくと、後からの再計算の手間が省ける場合が多くあります。
- データモデルへの読み込み:設定が完了したら、変換したデータをデータモデルに読み込みます(「読み込み先」で「このデータをデータモデルに追加」を選択)。ワークシートの範囲にデータを直接書き込むことは避けてください。そうすることで、処理が軽くなり、処理速度も速くなります。
- Power Pivot で分析:データモデルに紐付けられたピボットテーブルを作成し、必要に応じて DAX 数式を記述します。特に大規模なデータセットでは、通常の数式よりもはるかに高速です。
方法2:数式を最適化して簡素化する
これはおそらく最も一般的な問題点でしょう。誰かが何百ものネストされたIF文や揮発性関数を詰め込み、Excelが狂ったように再計算を繰り返すことがあります。こうした数式モンスターを削減することで、パフォーマンスのボトルネックを解消できます。
手順:
- 補助列を使う:大きな数式を複数の列に分割して、小さな塊にします。あまり魅力的には聞こえませんが、再計算にかかる時間を節約し、トラブルシューティングを容易にします。
- 範囲指定:数式では列全体( など
SUM(A:A)
)を使用しないでください。代わりに、 のように特定の範囲を指定してくださいA1:A10000
。これにより、Excel の処理量を抑えることができます。 - 揮発性関数の使用を最小限に抑える:
NOW
、、、などの関数は、変更TODAY
のOFFSET
たびに再計算を強制します。可能であれば、これらの関数を置き換えるか、使用を制限してください。INDIRECT
RAND
- 効率的な関数を使う:複雑にネストされたIF文の代わりに、
INDEX/MATCH
コンボや関数を使うとSUMIFS
、より高速で簡潔になります。 - 計算後に値を貼り付ける: 数式が完了したら、範囲を選択してコピー (Ctrl+C) し、「形式を選択して貼り付け」>「値」を選択して数式を削除し、以降の作業を高速化します。
方法3:ファイルサイズを縮小し、不要な書式を削除する
Excelは、特にスタイルや画像、あるいは過剰な書式設定によって、時間の経過とともに肥大化する傾向があります。その結果、ファイルを開く、保存する、そして計算するといった動作が遅くなります。不要なファイルを取り除くために、中身を整理してみる価値はあります。
手順:
- 生データを分離する:生データは専用のシートまたは外部ファイルに保存してください。分析や書式設定でデータが乱雑にならないようにしましょう。
- 未使用の行/列を削除する:Ctrl + Endキーを押すと、Excelがデータの終了位置を認識できます。それ以降の行/列、特に空白の行/列は、処理速度の低下につながる可能性があるため、すべて削除してください。
- 不要なシートを削除: 古いピボット テーブル、テスト シート、バグなどを削除します。
- 画像の圧縮:ワークブックに画像が含まれている場合は、「図の形式」>「画像の圧縮」を使用して画像のサイズを縮小してください。これにより、ファイルサイズ全体を小さく抑えることができます。
- 書式設定の管理: 「パフォーマンスのチェック」 (Microsoft 365 の場合) やInquire アドインなどのツールを使用して、ブックの速度を低下させる過剰な書式設定、スタイル、または非表示のオブジェクトを見つけて削除します。
自動再計算の処理
これは多くの人がつまずく問題です。ワークブックを変更するたびに再計算が行われると、顕著な遅延が発生する可能性があります。手動で再計算するように切り替えることで、制御しやすくなり、処理速度が向上します。
手順:
- 計算方法を手動に設定する:数式タブ >計算方法>手動を選択します。F9実際に再計算したいときに押します。
- オプションの保存前に再計算:保存時に更新したいが常に更新したくない場合は、[ファイル] > [オプション] > [数式]で「保存前に再計算する」をオンにします。
- 64ビット版Excelへのアップグレード:数ギガバイト規模のデータセットを扱っていて、ハードウェアが対応できる場合は、64ビット版にアップグレードすることでExcelがより多くのRAMを使用できるようになります。これはパフォーマンスを大幅に向上させます。バージョンは、「ファイル」 > 「アカウント」 > 「Excelについて」でご確認ください。
方法4: 使用されていない名前、スタイル、外部リンクを削除する
時間が経つにつれて、名前付き範囲、不要になったスタイル、外部スプレッドシートへのリンクなどでブックが乱雑になってしまうことがあります。これらを削除すると、Excelの動作がスムーズになります。
手順:
- 使用されていない名前を削除する: 「数式>名前の管理」に移動し、使用されなくなった名前を選択して削除します。
- 未使用のスタイルを削除する:スタイルパネルで未使用のスタイルを右クリック>削除 を選択します。未使用のスタイルが大量にある場合は、サードパーティ製のクリーンアップツールが必要になる場合があります。
- 外部リンクの管理: [データ]タブ > [リンクの編集]で、不要になったリンクを更新するか、リンクを解除します。
方法5: ハードウェアグラフィックアクセラレーションを無効にする(遅延が発生する場合)
グラフィック設定によってはExcelのパフォーマンスに影響が出ることがあります。ハードウェアアクセラレーションを無効にすると、特にGPUドライバーが不安定なマシンでは、応答性が向上するケースがあります。
手順:
- 「ファイル」 > 「オプション」 > 「詳細設定」をクリックします。 「表示」セクションまで下にスクロールします。
- [ハードウェア グラフィック アクセラレーションを無効にする]の横にあるボックスをオンにします。
- 「OK」をクリックしてExcelを再起動してください。これで問題が解決する場合もあります。
まとめ
大きなExcelブックをスムーズに動作させるには、魔法のボタン一つで済むわけではありません。スマートなデータ管理、数式の簡素化、不要な要素の削除、そして設定の微調整といった要素を組み合わせなければなりません。これらのアイデアを実践すれば、ほとんどの大きなファイルの動作は格段に良くなるはずです。ただし、Excelは時間の経過とともに動作が遅くなる傾向があるので、定期的なメンテナンスを行うことでスムーズな動作を維持できます。
まとめ
- ビッグデータの再作業にPower Query / Power Pivotを使用する
- 数式を簡素化し合理化する
- 使用されていないスタイルやリンクを削除し、ファイルサイズをクリーンアップします
- 大きなシートの場合は手動再計算に切り替える
- 古い名前、スタイル、外部リンクを削除する
- ハードウェアアクセラレーションを無効にする
最後に
これで、巨大なワークブックを苦労して操作している方の遅延が少しでも軽減されることを願っています。最初は少し手間がかかりますが、一度最適化されれば、ワークフローのストレスが大幅に軽減されます。頑張ってください。そして、Excel がこれからも高速に動作し続けることをお祈りしています!